事業報告書

平成29年度事業報告書

(平成29年4月1日から平成30年3月31日)

Ⅰ.事業の概要

 本年度も、ものづくりの根幹技術である金型技術及び金型を利用する成形技術等の研究開発活動に対する助成事業等を通じて、金型技術等の向上を図り、我が国工業社会及び産業経済の健全な発展に寄与するという当財団の目的に沿って、以下の事業を実施いたしました。

1. 研究助成事業
 金型技術及び成形技術等の研究テーマの公募を、6月1日から9月22日まで行い、国内の大学・大学院・高専並びにこれらに準ずる研究機関に所属する研究者から33件の応募があった。それを当財団の選考委員会にて公平かつ厳正な選考の結果、当財団の選考基準にふさわしい下表の助成テーマ11件を採択し、総額2,200万円の助成金を交付しました。
助成研究テーマ名 助成先 研究者名
1 多軸揺動加圧法の開発と鍛造加工への応用 福岡工業大学 廣田 健治
2 フッ素ゴム圧縮成形現象計測金型の開発 日本工業大学 村田 泰彦
3 スマート化金型による竹繊維ベベルギヤ創製 同志社大学 廣垣 俊樹
4 鋳型汚染の少ない金属ナノ構造の転写技術の構築と光学センサ応用 大阪府立大学 遠藤 達郎
5 金型曲面のフォトリソグラフィ微細加工 豊田工業大学 佐々木 実
6 塑性加工のための結晶塑性モデル技術の確立 静岡大学 吉田 健吾
7 ウエハ圧縮成型による柔軟な樹脂の高集積化 東北大学 福島 誉史
8 新型医療用マイクロニードルの実用化開発 九州工業大学 伊藤 高廣
9 屈曲連続炭素繊維強化プラスチックの成形性評価 早稲田大学 川田 宏之
10 超薄型扁平多孔管のプレス加工と伝熱向上 大阪産業技術研究所 四宮 徳章
11 非線形ねじり押出し金型を用いた鍛錬による強靭化への連続プロセスの研究 同志社大学 宮本 博之

 

2. 技術交流並びに技術者・技能者の育成に対する助成事業
 前項と同じ公募期間に、国内の大学・大学院・高専並びにこれらに準ずる研究機関で研究開発を行っている研究者等から、内外関係機関との技術交流及び技術交流支援の国際会議等開催に対する支援の公募を行い、技術交流に3件の応募があり、また、金型に関する基礎研究や応用研究を行っている若い技術者・技能者の育成等に対する助成には、1件の応募がありました。当財団の選考委員会にて公平かつ厳正な選考の結果、当財団の選考基準にふさわしい下表の4件、88万5千円の助成金を交付しました。
交流会議名及び技術者・技能者育成講座名 期間 助成先 研究者名
1 The 17th Machining innovations conference
(MIC 2017)
(於:ドイツ連邦共和国 ハノーバー市)
平成29年12月4日
~12月9日
大阪大学 杉原 達哉
2 The 21st International Conference on Miniaturized Systems for Chemistry and
Life Sciences
(於:アメリカ合衆国ジョージア州サバンナ市)
平成29年10月22日
~10月28日
東京大学生産技術研究所 申 東哲
3 国際生産工学アカデミー(CIRP)第68回総会
(於:東京大学他)
平成30年8月19日
~8月25日
東京大学
(一財)総合研究奨励会
国枝 正典
4 平成29年度プラスチック金型初級技術者・技能者育成技術セミナー 平成29年9月 7日
~9月 8日
(一社)日本金型工業会技術委員会 坂西 伸一

 

3. 表彰事業
 型に関する技術に対して、特に優れ、かつ、貢献度の高い技術開発者並びに金型産業の発展に対する貢献度が顕著な者を顕彰する事によって、型技術並びに型産業のより一層の発展を図ることを目的に、「一般社団法人型技術協会」との共同事業として、平成29年6月19日に、型技術協会主催の「型技術者会議」で下表の功績賞2件、技術賞2件、型技術論文賞3件、奨励賞6件の顕彰を行いました。
功績賞:型技術の進歩、向上、発展に関して特に功績の大きかった個人
受賞名 受賞理由 受賞者名
功績賞 プラスチック射出成形とその金型に新たな学問体系を創出し、プラスチック成形と金型業界の技術向上と発展に多大な貢献をした 横井 秀俊(東京大学)
長年にわたり金型企業ならびに金型関連の団体にて要職を務め、金型業界の発展に大きく貢献した。また大学では、金型人材の育成に尽力した 横田 悦二郎(日本工業大学)

 

技術賞:特に優れた貢献度の高い型技術の開発者
受賞名 受賞題目名 受賞者名
技術賞 “かしこい金型研究会”における新技術開発 高橋 百利、高橋 啓太((株)クライムエヌシーデー)
竹内 英二(日本デイトンプログレス(株))
近藤 大輔((株)ハルツ)
久野 拓律((株)アデック)
刃先交換式異形工具GALLEAシリーズ 赤松 猛史、高橋 勇人、
小林 由幸、徳山 彰(三菱日立ツール(株))

 

型技術論文賞:「型技術」誌に掲載された特に優れた論文等の著者
受賞名 受賞論文名 受賞者名
型技術
論文賞
半溶融成形法を活用した革新的鋳物創生法の開発 上久保 佳則((株)浅沼技研)
セルロースナノファイバーを用いた高機能複合材料の開発 仙波 健、伊藤 彰浩、北川 和男
((地独)京都市産業技術研究所)
ハイテン材と薄鋼板によるテーラードブランクの歩留まり向上のためのブランキング型構造の工夫 安藝 隆裕(ホンダエンジニアリング(株))

 

奨励賞:型技術者会議及び型技術ワークショップにおける優秀講演者および連名者
受賞名 受賞論文名 受賞者名
奨励賞 高硬度材の切削加工における工具寿命向上技術 犬飼 亮太、成松 昌洋、稲垣 浩、
石原 洋成 (オークマ(株)))
超硬合金の電解加工における品質劣化防止の方法 王 思聰、後藤 昭弘、中田 篤史
(静岡理工科大学)
齋藤 長男(S.N.技術研究所)
精密順送プレス金型におけるカス上り対策 森代 健史郎(トヨタ自動車(株))
優れた離型性をもつ新技術“フラワーパターンサーフェス”の開発 宗 美由紀、根本 政典
((株)牧野フライス製作所)
自動車用プレス金型 高速・高精度加工に向けた取組み 荒木 祥太、松本 貴則
(ホンダエンジニアリング(株))
熱可塑性CFRPを用いた1mサイズの閉断面ビームのプレス成形と強度評価 立野 大地、米山 猛(金沢大学)
河本 基一郎、岡本 雅之、
越後 雄斗(コマツ産機(株))

 

4. 調査・情報提供による普及啓発事業
 ア)助成研究成果報告会の開催
 平成28年度に実施された助成研究テーマの研究成果を論文集にまとめ、平成29年7月28日に千葉県千葉市で、研究成果活用促進と情報交換の場として下表の研究成果報告会を、約120名の金型技術研究者・大学院生・学生並びに金型関連企業の技術者等の参加で開催しました。
A.助成研究テーマの成果報告
助成研究テーマ名 助成先 研究者名
1 二軸押出機内の流動状態の測定と理論解析 金沢大学・理工研究域・
自然システム学系
瀧 健太郎
2 3次元リソグラフィによるマイクロ金型製作 群馬大学・大学院理工学府・
知能機械創製部門
鈴木 孝明
3 射出成形におけるセンサ計測技術の研究 東京大学・生産技術研究所 横井 秀俊
4 プラズマ援用ダメージフリー研削プロセス 大阪大学・大学院工学研究科・
附属超精密科学研究センター
山村 和也
5 せん断、成形、ダイクエンチ工程を含む通電加熱順送ホットスタンピング法の開発 横浜国立大学・大学院
工学研究院・機械工学系
前野 智美
6 放電加工における加工温度計測法の開発 金沢大学・理工研究域機械工学系 小谷野 智広
7 マイクロ工具長の非接触ナノスケール検知手法の確立 九州工業大学・情報工学研究院・機械情報工学研究系 カチョーン・
ルンルアン・
パナート

 

B.特別講演
講演者 所属・役職 演 題
1 曽山 隆彦 パナソニックプロダクションエンジニアリング(株)
成形事業センター技術部 部長
パナソニックのモノづくりを支える
成形・金型技術
 イ)金型産業史の編纂事業の実施
 未着手であった冷間鍛造型の調査は、2社から資料提供の承諾を得て聞き取り調査を進めることとしました。
 ウ)技術・業界動向調査事業の実施
 本年度は、元大阪産業大学の前川佳徳氏に委託した「金型製造業のASEAN展開・現状と動向」の調査を実施し、また、大阪市立大学の田口直樹氏に委託した「金型製造技術における情報化の発展過程の調査」の3ヶ年計画の初年度を実施しました。

公益財団法人金型技術振興財団  事業報告の附属明細書

平成29年度事業報告には、「事業報告の内容を補足する重要な事項」が存在しないので、定款第11条(2)に規定する事業報告の附属明細書は作成しない。